十一月二十九日
弟がいきなり「部屋で寝てる時に幽霊出たことある?」と聞いてきて、「寝てる時は寝てるのでわからない……」と答えた。寝てるときにおもいっきり幽霊出てたら若干申し訳ないな。
十一月三十日
花園神社の酉の市。三の酉。熊手を買わずに狐の面を買った。二千円。
見世物小屋も出ており「たのしいカッパ天国」というのぼりがはためいていた。カッパにとっての天国は人間にとっては地獄寄りなんじゃないかなあ。わからないけど入ってみたらカッパ、踊りまくっていた。十分に一回出て来ては踊る踊る踊り狂う。あれ祭のあいだ一日中踊ってるんじゃなかろうか。カッパにとってもそこそこ地獄。
十二月一日
ねこは、ごはんを食べたらぺろぺろして寝る。若いねこは、ぺろぺろして大暴れしてから寝る。
十二月二日
原宿や渋谷をひたすら歩いた。私も一緒にいた友達も東京生まれ東京育ちで、他にも共通点が多く、しまいには声も似てると言われた。大人になってからできた友達の多くは東京以外に故郷があり、東京生まれ東京育ちの人は珍しい。故郷のある人の東京への眼差しは美しく、ありがたくて大好きだけど、東京出身者の満たされた、飽和した、行き場のない、どこか虚しげな気配も大好きだ。あのひとたちがここに来て必死で埋めている部分を、埋めるための道具をわたしたちは初めから持っていない。けど、なにかしらの手段で埋めなきゃいけない、埋めなきゃいけない、埋めなきゃいけない。
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