2015年12月5日土曜日

猫とモスキート

野良猫が会社の入口の植え込みにフンをするから猫よけ対策として、モスキート音なる耳に痛い音がでるマシンを導入。入口に設置した。

モスキート音というの(人間だと若いときにしか聞こえない音らしく、若者の溜まり場にされそうなコンビニ前や地下路地などでも流されているらしい。

わたしは若さでピチピチではないものの若くなくもないような年齢なのだが耳は年老いているらしくこの手の音がまったく聞こえない。
わたしより年齢が上の人でも耳が若い人にはバッチリキーキーと聞こえるらしく時より街を歩いていると近くにいるおっさんとかがいきなり「グエッ」とか言って耳をふさいだりするのでビックリすることがある。

若者にたむろされないようにモスキート音が流されていたのであろうが、耳が老いてるわたしにはそんな事情は知ったこっちゃないわけだから、たとえば自分が生粋のストリート系なりギャルなりで世の中のルールなんて無視が定番のヤンチャ系だったとしたなら平気でそこにたむろしかねない。

もちろんそういう音がたまに流れてるというのはなんとなく噂で知っていたのだが、だいたい皆が噂するそれをわたしは「モスキートーン」だと思って聞いていた。
ファンキーなリズムが昭和育ち世代の首を傾げさせるように、モスキーなトーンが若者を啓発するのだろうと思っていて、ものすごく惜しいかんじはするが、そもそもそこから聞き取れていなかったのだからどうしようもなかった。

さて会社入口に設置したモスキート音が出る機械だがやっぱりわたしにはただの置物にしか感じられず、設置する時も会社の人がキャーキャー言いながら置き場所を決めているのをどこか淋しい気持ちで見ていた。猫は聴覚が人よりも優れているから若かろうが年寄りだろうがちゃんと聞こえてしまいます、といったような事が説明書に書いてあって、世界に取り残されたような気持ちが助長された。

そんな得体の知れないモスキート音の出る機械だがやはり猫もグエッと思うのか植え込みのフンの被害はなくなったようだ。
たしかにいつもかわいいお顔でトコトコ敷地内を駆け回っていたゴキゲンな猫が、この間は明らかに険しい表情をしていた。いかにも嫌そうな、舌打ちでもしてきそうな面で迷惑そうに植え込みをまたぎ、弊社駐車場の隅にドスンと腰をおろして尻尾でイライラ感をアピールしていた。嫌そうにはするけど入りはするんだ、と思った。

残念ながら猫よけとまではいかなかったようで、かわいい猫がかわいくなくなって怖い顔で駐車場に現れるようになり、フンはなし。というまあまあな効果だった。モスキート音の仕事が、わたしの聞き間違えとおなじくらい惜しくて嬉しい。